平成28年7月17~18日にかけて行われた、
第29回日本臨床整形外科学会学術集会に参加しました。
尾島陽介先生が慢性腰痛に対する運動療法の治療成績という演題で発表いたしました。
内容が知りたい方はコチラをクリックしてください。
<目的>
慢性腰痛患者に対し運動療法を行いその治療成績と問題点を検討すること。
<対象および方法>
対象は2014年8月から2015年10月に来院し、3ヶ月以上続く慢性腰痛患者(慢性群)のうち、治療開始から3ヶ月以上追跡可能であった24例(男13例、女11例)、平均年齢48歳(14歳から67歳)。事故、労災は除いた。理学療法開始時(初回時)にマッケンジー法を用いて評価し、セルフエクササイズの指導や姿勢指導を行った。VAS、JOABPEQを初回時と最終観察時(最終時)に評価し、症状が軽減する方向(DP)等、治療成績を同時期に来院した急性腰痛患者(急性群)54名(男34例、女20例、平均年齢48歳)と比較検討した。
<結果および考察>
VASは慢性群初回時平均4.6±1.7㎝、最終時平均2.7±2.2㎝、急性群初回時平均5.4±2.0㎝、最終時0.8±1.1㎝とどちらも改善しているが、最終時慢性群のVAS値は急性群に比べ有意に高かった。JOABPEQは初回時すべての項目で有意差はなかったが、最終時は疼痛関連障害、腰椎機能障害および心理的障害にて慢性群の点数が有意に低く、また有効率は疼痛関連障害のみで慢性群のほうが有意に低かった。DPは慢性群75%、急性群98%に存在し有意差がみられた。腰痛消失時期では3ヵ月以内に消失したものは、慢性群45.8%(11例/24例)、急性群85%(46例/54例)と慢性群の消失時期は有意に遅かった。慢性群のうち、難治性腰痛に至ったものは25%(6例/24例)であった。難治性腰痛の6例は他の慢性群18例と比較すると治療前平均VASが5.7㎝と高く、JOABPEQの疼痛関連障害、心理的障害の点数が有意に低く、またDPは33%であった。初回時からVASが高く、JOABPEQの疼痛関連障害、心理的障害の点数が低い傾向があり、DPが認められない症例は難治性腰痛に移行しやすく、運動療法だけでは効果が乏しいため、早期から認知行動療法などを併用して治療を行っていく必要があると考える。